過去の吐き出し話です。
失業保険の給付も終わり、働かなければならなくなった48歳。
販売職に疲れていた私は事務職を選んだ。
慣れない仕事、覚えが悪くなった頭、久しぶりの外社会。
早く仕事に慣れようと頑張った。
良い人ぶって笑顔で仕事引き受けちゃったりする。
頑張り過ぎるからダメなのに全く学んでいない。これじゃ別の職種についても同じ事。
しかも私の頑張りは人間関係にまで及ぶ。
変に高いコミュ力を、使わないでいいところで使って望まぬ者を引き寄せてしまう。
自分で引き寄せてる事に気づいてない。相手が勝手に寄ってくると思っているからタチが悪い。
きつい。なんかきつい。
ストレスがピークにきた時、決定打を喰らった。
朝の出勤時。交通量も多い通学路。コンビニなどの小売店や飲食店、病院も並んでいる通り。大人ふたりが通れるぐらいの歩道。
そんな事に遭遇するなんて思いもしない条件で事は起きた。
向こうから手ぶらの男性が来る。時間的にあまり見かけない感じ。
前に軽トラが止まっていて歩道の半分を塞いでいたので、ひとりずつしか通れない。速度を緩めずこのまま歩いて行くと、ちょうどその軽トラの前で男性とすれ違う事になる。
「通り過ぎるのを待ってから行こう」
とっさにそう判断したのは、「ひとりしか通れないから」というのもあったし、
何よりもその男性がニヤついていたから。
歩く速度を徐々に緩めて軽トラの手前で立ち止まり、男性が私の前を通り過ぎるのを待った。その瞬間、男性の右手拳が私のお腹に入るのが見えた。
こういう時って必ずスローモーション。脳の不思議。
ズンっと重い鉛がお腹に入った感じがした。
お腹から折れ曲がってその場にうずくまった。
殴られた。
振り返ると、男性は何事もなかったように歩いて行っている。
わざとじゃないなら「すみません」の一言ぐらいあるはずだ。
「ちょっとちょっと、何してくれてんだよテメエ!」(心の声)
もともと負けん気が強いので、こんな時に私は恐怖心よりも真っ先に怒りが湧いてくる。
小型犬がキャンキャン吠えるような感じ。
立ち上がり、携帯を取り出し、男性の後を動画を撮りながら追っかけた。
「よくそんな事できましたね、怖くなかったんですか?」
上司に状況を説明しなくてはならず、この話をした時に言われた。
私がどんな気持ちで一心不乱に男性を追っかけたかというと、
なぜ私なのか知りたかったからだ。
幼い時、10年前のあの日、あの時も、ほら、あれだって。私じゃなくてもいい時はあったはずだ。なぜ私を選んだのか、なぜ私なのか。
この人に聞けば長年の疑問が解決するかも知れない。謎が解けるかも知れない。教えて欲しい。怒らないから。なぜ私だったのか。
そんな気持ちだった。闇深くてとても上司には言えなかったけど。(ここに書いてるけど)
信号で止まってる男性にやっと追いつきそうになった時、横顔がチラリと見えた。
笑ってた。
ここで私の追跡が終了。恐怖心が襲ってきて足が止まってしまった。
夫に電話し、警察が来てパトカーに乗って実証見物諸々して、警察署で被害届やら写真撮ってなどの予定外な一日になった。
歩道の防犯カメラに男性は映っていたが、その後その人は捕まらなかった。