あれからこれから

不安障害と更年期うつを抱えた私の記録

元夫の疑惑

見た目のタイプってあると思う。でも中身はどうかは分からないし、自分を好きになってくれるとは限らない。

以前、奇跡的にタイプの人とお付き合いしていた事があった。

彼はバンドマンで無職という絵に描いたようなダメっぷりだったが、「将来結婚しよう」と言われ、見た目も相待って私はのぼせ上がっていた。

母は彼のことを毛嫌いしていて私の目を覚まさせようと必死だったが、反対されると燃えるもので、私は部屋を契約し家電を揃えて2人で暮らす準備をしていた。そんな時、彼の浮気が本気へと変わり呆気なく振られ、途方にくれていた時に元夫と出会った。

 

元夫は私のタイプではなかった。正確に言うと顔がタイプではなかった。失礼な話だと思うけれど、お互いそうだったと思う。でも、その前に散々な目に遭っていたのでそんな事どうでもよくなるぐらい穏やかで平和なお付き合いだった。

 

友人繋がりで知り合った元夫は、人当たりが柔らかで人懐っこく、女友達との飲み会に混じっても違和感の無い人だった。彼のことを悪く言う人はおらず、見た目は男性だけど女友達のような感じで、私の方が彼を引っ張っていく関係性だった。

 

「元夫さんはGだよね」と言われ始めたのは離婚した後だった。

しかも数人に。みな前からそう思っていたと言う。私が否定すると見た目がそうだと言う。本人が「可愛い男の子が好き」と言っていたのを聞いたという人まで出てきた。

 

思いもよらない事を言われとても驚いた。

見た目?近くに居過ぎて分からなかった?え、離婚の理由それだと思われてたって事?

 

確かに当時TVによく出ていたおぎママをもじって「〇〇ママ」とあだ名で呼ばれ、職場では有名人だと聞いた事があった。でも、私は不思議に思うこともなく、「人気者なんだ良かった」と思った。そんな感じで考えた事もない。

 

そんな訳ないと思いつつ、思い当たる節をたぐって考えてみた。

夜、趣味系で若い男の子達の集まりに頻繁に行くようになった。隠さず行っていたし、新しい繋がりが出来て楽しいんだろうと思っていた。

 

仕事帰りによく職場の若い男の子とコンビニ前で飲んで帰って来てた。いつも弾んだ声でちょっと遅くなるからと電話を掛けてくるので、深い意味もなく「本当に仲良しだね」と言うと嬉しそうな顔をしていた。

 

疑いの目で見ればそう見えるし、私だって同性で年下の仲良しの子と飲みに行くのはウキウキする。可愛い女の子も好きだ。性的な目で見ることはないけど。

 

いや待て。可愛い女友達の写真をわざわざデジカメからガラケーに移して保管してたのを知ってるし、TVでこの女優さん好きとかよく言ってたし、2人で街でオシャレ女子ウォッチングやってたし。

 

いや、まてよ、そういえばあれってそういうこと?

その他にも疑おうと思えばいくらでも出てくるので考えるのをやめた。

 

私が家を出る時、元夫が泣いていた姿を思い出すと悲しくなる。

別れを言い出したのは私だった。互いに興味が無くなりただ一緒に居るだけの関係なら解消したいと言った。

彼は最後までこのままではダメなのか、別れたくないと言っていた。繊細で寂しがりやな人だった。

最初で最後に見る元夫の泣き顔だった。

泣きじゃくる夫につられて私も号泣した。

 

GでもBでもそうじゃなくても何でも良いと思っている。

でも、万が一彼が言えずに苦しかったなら、気付いてあげれなかった事が申し訳ない。

結局、私は元夫を表面でしか見てなかった気がする。

私たちはお互いの思いを話し合うことが少なかった。お互いが察してオーラを出し、言いたいことが言えないケンカもしない夫婦だった。

 

自分から別れを言い出したのは初めてだった。いつも切り出される方だった。切り出される方が辛いと思っていたが、切り出す方もとてつもなく辛かった。

 

酷い仕打ちをしてしまった申し訳なさで苦しくなり、別れた後は会わなくなった。

別れても友人でいたいという彼が望んでいたカタチにはなれなかった。言えた義理じゃないけれど、自分らしく生きていてくれたら嬉しいなと思う。